吉元公認会計士事務所

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採択される!補助金申請書の書き方

コラム

 当事務所ではものづくり補助金や事業再構築補助金の申請サポートをさせていただいており、例えば事業再構築補助金の第5回公募までの採択率は100%(受託件数に対する採択件数割合)です。手前味噌ですが、当事務所の採択率は日本でも有数ではないかと思っています。
 採択される申請書(事業計画書)を書くにはコツがある、ということで、申請書を書くにあたって私が大切だと思うことを少し書いてみようと思います。
(このコラムは完全に私見に基づくもので、情報の信頼性に関しては責任を持ちかねますので、その点だけご了承下さい)

採択される案件とは?

 採択される案件とはどのようなものでしょうか?私が考える答えは、成功する確率が高い事業を行うということです。
 そんなこと当たり前だろと、と思われた方も多いと思いますが、ここが十分に練られていない案件も多いのではないかなと思います。

 例えば私は公認会計士事務所の所長として、公認会計士監査、税理士業務、中小企業診断士としてのコンサルティング業務などをしています。そんな私がいきなりフレンチレストランを開業したいという内容で補助金の申請書を出したらどうでしょうか。おそらくどんなにがんばって書いても採択されないと思います。

 私はフランス料理を作った経験もないですし、飲食店経営のためのノウハウもありません。そんな自分がフレンチレストランを開業しても絶対成功しないと思いますし、そんな案件で事業計画書を作成したとしても採択されないでしょう。

 それでは自分の公認会計士や中小企業診断士としての経験を生かして、AIで適時に経営診断をしてくれる会計ソフトを作ります、という案件だったらどうでしょうか。確かに自分の強みを活かせそうですし、先程のフランス料理屋よりも成功の確率が高そうですよね。このような案件なら採択される可能性もあるのかな、と思います。

実施したい事業を分析してみよう

 自分の考えている事業は絶対に成功するから大丈夫、と思われた方、確かにそうかもしれませんが、補助金の申請においては、事業計画書を作り審査員に論理的に説明する必要があります。

 論理的に説明するためには、自分の行いたい事業を客観的に分析する必要があります。事業を分析するための方法はいくつかあるのですが、おそらく一番使われているであろうSWOT分析、クロスSWOT分析、3C分析をご紹介します。

SWOT分析

 SWOT分析とは、「強み(Strength)」「弱み(Weakness)」「機会(Opportunity)」「脅威(Threat)」という観点で、自社の能力や自社を取り巻く市場環境を分析するものです。
(図の出典:中小企業庁「ミラサポplus」(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/16748/ ))

 これらの観点に沿って自社や市場環境を分析することで、自社の優れているところや自社の置かれた状況を分析することが可能です。

クロスSWOT分析

 上記で行ったSWOT分析をもとにクロスSWOT分析を行います。クロスSWOT分析とは「強み・弱み」と「機会・脅威」を組み合わせることで、自社がどのような戦略を取るべきかを考えるための分析です。
 左上の「強み×機会」は市場のニーズもあるし、自社の強みも活かすことができる事業なので、積極的に行うべき事業だといえます。反対に「弱み×脅威」は市場環境もよくないし、自社の強みもないため事業の撤退も視野にいれて活動するべきだといえます。

(図の出典:中小企業庁「ミラサポplus」(https://mirasapo-plus.go.jp/hint/16748/ ))

 例えば先に例として出した私がフレンチレストランを開業するという例だと、私はフランス料理を作った経験もなく(≒弱み)、コロナ禍(≒脅威)において飲食店のノウハウも持っていないということで、上の図では右下の事業ということになります。

 一方でAIで適時に経営診断してくれる会計ソフトを作りますという例だと、公認会計士としての会計の知識やコンサルティングの経験を活かして(≒強み)、市場の生産性を向上したいというニーズ(≒機会)に応えるということで左上の取り組みであるといえそうです。

 実施したい事業が左上の「強み×機会」に当てはまるものであれば成功可能性が高い事業であるといえます。そのような事業であれば補助金の採択もされやすいのではないかなと考えています。

3C分析

 上記のSWOT分析・クロスSWOT分析を行うことで、自社の戦略の方向性を立てることができます。しかし、客観的に自社の強みや弱みを把握することは、なかなか難しい作業です。そんなときに役に立つのが3C分析です。
 3C分析とは「市場・顧客(Customer)」、「Competitor(競合他社)」、「Company(自社)」という観点で自社の置かれた状況を分析してみるというものです。
 いきなりSWOT分析をしても、なかなか客観的な分析は難しいですが、3C分析で競合や市場ニーズという客観的な情報をもとに分析してみることで、自社の強みなどが浮き上がってくるかもしれません。

その他の分析フレームワーク

 事業計画書を作成するにあたっては、SWOT分析やクロスSWOT分析はほぼ必須であると思っています。ただ、これ以外にもマーケティングにおける分析には多くのフレームワークがあります。4P分析、ファイブフォース分析、VRIO分析、PEST分析などです。
 すべての分析を行う必要はあまりないと思いますが、論理的な事業計画書を作成するに当たっては、それぞれの分析がどんな観点で分析を行っているのかという観点だけでも知っておくことで、事業計画書を書くときに役に立つかと思います。

採択される申請書を書く

 私の場合はここまでやって初めて申請書を書き始めます。おそらく申請書を書いている時間よりも、ご依頼いただいている会社の財務情報の分析や、ホームページを見たり、市場調査をしたりといった下準備の時間のほうが圧倒的に長いです。

 申請書を書くに当たって大切なポイントですが、その補助金の審査項目にしっかり答える申請書にすることです。
 ものづくり補助金や事業再構築補助金では審査項目が公募要領に記載されています。審査項目として公表されているんだから、これらの項目に対して回答することがとても大切です。
 例えば事業再構築補助金の審査項目(一部抜粋)は以下のようになっています。

 うん・・・長くてよくわからない。。という方がほとんどではないでしょうか。それでもクロスSWOT分析までしっかりやっていると答えられる項目も多いです。
 偏った自分語りにならないように、客観的な事実も出しながら、しっかりと審査項目に沿って申請書を書くことが採択への近道になります。

プロに申請サポートを依頼する意味

 最後に申請書の作成をプロに依頼する意味について書いてみます。
 まず、上記で複数の分析を挙げましたが、自分のことを客観的に分析することはかなり難しく、自分の強みを強みとして認識されていない社長も多いです。話している途中に「それって大きな強みですよね」、と言うと、「えっ、こんなことが強みになるんですか?」と驚かれる方も多くいらっしゃいます。第三者が入ることによって、より客観的な分析ができるというメリットはかなり大きいと思います。
 2つ目は時間の節約です。自社の分析して、市場環境を調べ、それを申請書に落とし込むという作業は、慣れていないとかなりの時間がかかります。(私は申請書の作成までに最低でも2週間ほどいただいているので、慣れていないと1ヶ月以上かかるかもしれません。)
 3つ目は申請書のクオリティです。審査項目にすべて答えられるように書くというのは、なかなか難しいと思います。

 私に依頼いただいている方に作成した申請書をお見せすると、これは自分では書けないです、とか、ここまで調べて書いてくれてありがとうございます、とおっしゃっていただくことも多いです。
 自分で申請書を書いて採択されるのであればそれが一番いいと思いますが、なかなか難しいと思われるようであればプロにサポートしてもらうことを選択肢に加えてもいいかもしれません。